吃音(きつおん・どもり)/小児期発症流暢障害(しょうにきはっしょうりゅうちょうしょうがい)はどのような障害なのか?原因は?治療法はあるのか?

吃音(きつおん・どもり)/小児期発症流暢障害(しょうにきはっしょうりゅうちょうしょうがい)はどのような障害なのか?

 

 

テキストだけで説明することは難しいのですが、出来る範囲にて書き起こします。

 

吃音障害は発話の障害です。

うまく言葉を発話できないのです。

また、無理やり言葉を発話するので吃音者は身体の表面上なんらかの意図しない行動が現れます。

 

◆吃音は発達障害???

 

吃音は発達障害とも言われています。現実問題として日本国内では吃音が発達障害ということ、精神障害者保健福祉手帳の対象であることを認めない人もいます。頭のオカシイ、犯罪を起こしても無罪になる精神障害者や発達障害と一緒にするなというトンデモナイ事を言う人もいます。現在も障害者認定反対派の吃音者団体では子どもや保護者に「障害者はかわいそう。吃音が発達障害と言われるのはおかしい。僕たちはかわいそうな障害者じゃない」と言わせるように洗脳してしまう団体もあります。

 

一方、筆者を発達障害であると診断した小児科医師は「吃音と発達障害は両方持った人が多い」と話していました。「発達障害とは、考え方、認識の仕方、人間の五感、運動機能、記憶、学習能力、読み書き、話すこと、などなどを司る脳の機能の障害である。それがもとになり不利益や不自由、コミュニケーションが困難、生き辛さが生じる」と小児科医師は説明していました。吃音であれば話すことの発達障害になる、自閉症スペクトラムであれば、考え方や認識の仕方の発達障害になるというのです。

 

現在DSM5という診断基準では吃音が明確に自閉症スペクトラムやADHDなどと同じ分野の神経発達障害群に分類しています。

 

◆吃音者は常に吃っている訳ではない 吃音=発話できない という認識は間違い

吃音とは「吃音状態」になることにより、吃音が発生します。

「吃音」になってしまう「スイッチ」が入ってしまう、ONになることで、吃音状態の話し方になってしまいます。ここは重要なのでよく覚えてください。これは本当に不思議なことなのですが、どのような状態や環境、人間関係であれば吃音が発生する、発生しないという原因は解明されていません。

 

よくある勘違いは、吃音者は、常にずっと、いつ何時、いかなる場合でも吃っているということです。吃音者は365日四六時中吃っている訳ではありません。吃音者がスラスラ話しているときと、吃ってしまい上手く話せないときの両方があるとよく覚えてください。非吃音者(健常者)からすれば、『今日はこの人上手く喋ってるな。まさか故意にやってるのか?』、『なんでいつも流暢に話しているのに今日はこんな人が変わったようにオカシナしゃべり方しているんだ?』と思うかもしれませんが、そういうものだと思ってください。吃音者はふざけていませんし、あなたを怒らせようとしているわけでもありませんし、無礼な態度をしているわけでもありません。吃音当事者は意識して吃っているわけではありませんし、吃りたくないのに吃っているのです。

 

 

吃音は緊張するから吃るというのもよくある勘違いです。

別に緊張していなくても吃ります。リラックスしている自宅で家族と会話する、恋人、配偶者と会話する場合でも吃ります。

 

吃音と緊張の関係ですが、鶏が先か?卵が先か?問題と同じかもしれません。

もしもこの世に生まれてから吃音のことを指摘されずに、吃音のことを笑われずに、治そうとされずに育った吃音者がいれば、そもそも緊張は無いはずです。吃音者の吃り方を指摘したことによって、その吃音当事者の記憶に深く刻まれ、怖い体験だとストレス体験だと学習してしまえば緊張につながることはあるかもしれません。

 

 

吃音者が吃ってるときは、「今日は調子が悪いんだな」程度の認識でいてもらえるととても助かります。いちいち、「今のしゃべり方はなんだ!?」とか怒らないでください。そういうものだと受け止めてください。学業や仕事の内容で評価をしてほしいと思います。

 

 

◆吃音者がどもることにより身体上に現れる症状 随伴症状とも呼ばれます

 

顔が歪むこと、表情が不自然になること、目を細めてしまうこと、顔がピクピクすること、口を尖らせてしまうこと、口から唾液を飛ばしてしまうこと、相手に唾液を浴びせてしまうこと、コンビニエンスストアのおでん注文で唾液を保温器に入れること、身体の手や腕や足などを不自然に動かすこと、身体のどこかでリズムをとること、眼球が白目をむいてしまうこと、鼻の穴が広がってしまうこと、息遣いが不自然なこと、があります。

 

あまり現れない吃音者もいれば、複数が当てはまる吃音者もいます。

とくに喋るときに口から唾液を飛散させてしまう吃音者はマスクをしている人もいます。

 

吃音者の中には、他人の目を見て話せない人がいます。自閉症スペクトラムを併存している吃音者が当てはまります。または吃音による対人恐怖症により視線を合わせられないという場合もあります。

 

◆吃音者は吃ることを避けるために テクニックを使います

吃音がでないように「いいかえ」というテクニックを使う場合もあります。

「今日は天気がいいですね」→失敗「きょきょきょきょ」

吃音回避のため「天気がいいなぁ。今日は」

 

「そこの赤いボールペンをとってください」

吃音の回避のため「そこのレッドなボールペンをとってください」

 

(本当は自分が話すことは全て頭に思い描いているが)

「あーー。アレなんだっけ。えーっと」

相手「あ、XXXXでしょ」

「あっ。そうそう。ありがとう」

相手に言わせるという高度なテクニックを使う吃音者もいます。わざと忘れたフリをするのですね。

 

吃音者のいいかえのテクニックは、言葉を発話する順番、区切りの順番を変更して、吃らずに話すことです。または、日本語を使わずに他言語を使う場合もあります。自己紹介で名字→名前 だと吃るので、 名前→名字 と外国人のように自己紹介する人もいます。しかしやはり違和感がありますね。

 

また吃音者のいいかえテクニックは、日本文化に根付いた完璧主義、礼儀、無礼、尊敬、敬語、お客様を不快にさせない、過剰接客の世界では通用しないこともあります。

 

マニュアルで完全に順番通りにこのように会話しなければいけないという接客業やコールセンター業務は吃音者には鬼門です。目を見て話せない、唾液を飛散させるというリスクもあります。

 

特に日本文化の上下関係や敬語を使うということもいいかえテクニックを使えないことになります。吃音者の中には敬語だと吃るけど、友達言葉やタメ口ならばなんとか発話できるという人もいます。しかし社会ではそれが通用しません。人事考課などで低い評価がつくこともあるでしょう。

 

本来なら吃音に限らず話すことが大変な当事者がいると社会の側が理解し、それに対して怒らない、低評価をしない、受け入れるということで済むはずなのですが、日本社会はそこまで成熟していないのが現実です。

 

 

◆吃音の原因はなに? 治るの?

吃音の原因は過去に「親、保護者の育て方の問題、母親が悪い」という間違った認識がされていたこともありました。

 

現在では幼少期に発症する吃音については、脳神経ネットワークのつながりの問題、神経発達障害と言われています。吃音が幼少期に発症し大人になると治る人、大人になっても治らない人がいることがわかっていますが、なぜ、どこで、その道程に何をすれば、どのような環境ならば変化するのかという部分が不明です。現在、海外でそれを研究するかもしれないという状況です。もしかしたら、いつの日か吃音が大人になれば治る障害になるかもしれません。

 

吃音は強度ストレスが原因になりなる場合、頭の怪我により脳が傷つくことにより「吃音のような症状」になることもあります。この場合は正式に吃音とは呼びません。診断基準では幼少期から発症していたことが吃音とされています。発達性の吃音ですね。

 

吃音は一般に言われる発達障害のように、遺伝も関係しています。吃音業界では「遺伝」ということがタブー視されており、「吃音になりやすい体質」と表現することもあります。この背景は親の育て方問題と同じで、そもそも父か母、または両方の遺伝子に欠陥があったからいけないのだ!ということにつながるからです。優生思想にもつながる可能性があります。

 

吃音を治すにはリッカムプログラムというものをある年齢までに受ければ治るかもしれないという情報もあります。しかし、100%とはいえませんし、日本全国どこの病院でも利用できるわけではありません。父母の経済力があれば多額の交通費をかけて病院に行くということはできるかもしれません。

 

吃音を治せないが、吃音者の緊張や精神的な不安に対して、対症療法として精神薬が使われることがあります。また、医師によってはてんかん薬を吃音者に処方することもあります。漢方薬の抑肝散加陳皮半夏を処方する医師もいます。2016年にアメリカで吃音にADHD薬のコンサータが効果あるのではないかという報告もあり検証をしているというニュースもあります。

 

◆吃音は一般に言われる発達障害以外にも何か同時に発症する病気はあるの?

吃音は一般に言われる発達障害者が二次障害として発症するように、うつ病、適応障害、強迫性障害などを発症する場合があります。

 

◆連発性吃音(れんぱつせいきつおん)、難発性吃音(なんぱつせいきつおん)ブロック吃音とも、伸発性吃音(しんぱつせいきつおん)の3つがあると言われています。

 

連発の吃音は発話の際、一文字目が吃ります。

ありがとうございました→ あああああああああありがとうございました。

 

難発の吃音は発話の際、一文字目を出すのがとても難しくなります。

(口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)……………おはようございます。

 

 

伸発の吃音は発話の際、一文字目と二文字目のあいだを伸ばす吃り方です。

場合によっては一文字目と二文字目以外の言葉も伸ばすかもしれません。

 

いらっしゃいませ→ いーらっしゃいませ いーらっしゃーいまーせ

 

 

 

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